怜悧な怪談:角田光代『かなたの子』
わた:『泉鏡花賞』受賞作品を読もうシリーズ。
あめ:あんなに朗らかそうなのに、こんな異界を抱えてる・・・角田さんの底知れなさにいつもながら脱帽。
わた:昔の因習的なトーンで書かれた作品の方が、現代が舞台のものより「救いがある」感じがしたんだけど。
あめ:即身仏を扱った「おみちゆき」、夏目漱石の『夢十夜』めいた「前世」。
わた:因習という抗えない力が色々な感情を諦めさせるからかな。
あめ:現代を舞台にした作品の方が、読むのが辛い。「同窓会」は子育て中のわたしは辛くて読めなかった・・・。
わた:子供の秘密は気づかれないのも悲劇だね・・・。
あめ:「巡る」の頭に靄がかかった語りも、とても「聞きなれてる」感じがする(笑)
わた:「道理」の収斂の方向もね、「読みなれた」感じ。
あめ:昔の恋人の言葉の端々に道理が挿入されることに気付くあたりは、こわかった。
わた:泉鏡花賞としては、結構、わかりやすい作品だな、と思った。
あめ:受賞作の『駆ける少年』(鷺沢 萠)とか『草すべり その他の短篇』(南木 佳士)とかは、もっとどんな小説なのかわからない得体が知れない印象がして好きだったな。
わた:この『かなたの子』は得体が知れない感じはしないね。
あめ:朦朧としたイメージなんだけど、どこか芯は覚醒している。怜悧な印象。
わた:でも角田さんらしく必ずはっとさせられる知恵と分析に満ちた一文があって
あめ:読後感はともかく、読んで落胆することはないです。
わた:WOWOWでのドラマがAmazon Primeビデオで視聴可能です(2019/12 現在)
あめ:わた☆あめとしてはドラマより小説の方がおすすめです。
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