災害が多い今だからこそ冒頭の名調子が胸に迫る:鴨長明/訳・蜂飼耳『方丈記』
わた:災害が多い今の時代、災害を描いた作品としてこの作品が読まれているそうです。
あめ:学校の授業では世間との付き合い方とかそんな説明だったと思う。
わた:災害の世紀ならではの読まれ方だね。
あめ:前半では確かに大火、竜巻、飢饉、遷都、地震についての記述が続く。
わた:遷都も災害の一種なんだな。この遷都は平清盛による福原遷都だ。
あめ:原典は漢字カタカナ交じり文なんだって。
わた:カタカナ文って軍部が出す文書の印象が強いからカタカナ交じりで読んだらまた違った印象だろうな。
あめ:堀田善衛の『方丈記私記』が本当は読みたかったんだけど電子書籍化されてない。
わた:堀田善衛はカタカナ交じり文で読んだのかな。
あめ:戦時中、軍部が発するカタカナ文があふれる中で、同じカタカナ文で『方丈記』を読んだら全然違う体験になりそう。
わた:西行も読もうと思っていて、先に鴨長明を読んだんだけど。
あめ:鴨長明は出家したと言っても世間に未練がとてもあるのよね。
わた:本当は神社の禰宜になりたかった。源実朝の歌の師匠になりたかった。でもどちらもほかの人がなり、自分は果たせなかった。
あめ:本人にとっては忸怩たる思いだろうけど、それを紙に書き留めてくれたからこそ
わた:あの素晴らしい冒頭を読むことができる。
ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世中にある人と栖と、又かくのごとし。
ユク河ノ流レハ絶エズシテ、シカモモトノ水ニアラズ。ヨドミニ浮カブウタカタハ、カツ消エカツ結ビテ、久シクトドマルタルタメシナシ。世中ニアル人ト栖ト、又カクノゴトシ。
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