わた☆あめ 脳内読書会

読書ブログです。ヨーロッパより帰国しました(コロナのばか~!)

「不離怨願、あたご様、五郎子」:『よろずのことに気をつけよ』

川瀬七緒さんのデビュー作。第57回江戸川乱歩賞受賞作品。

 

巻末におさめられている選評では「呪いに対する理解が甘い」「会話文が多く冗長」と辛口だったけれど、私は純粋に楽しめた。

 

床下から見つかった呪い札は専門家が見れば「うなじの毛がチリチリと逆立つような」もの。これをつくったものは本気だ、まったく迷いがない、と文化人類学者で呪術を専門にしている中澤は思う。

 

しかしこの札の材質を調べると、札は何十年も前に床下に埋められたようなのだ。なぜそんな前から呪いの札が埋められていたのか、そしてなぜ、今になって老人は殺されたのか。老人の写真が剥がされたアルバムは何を意味するのか---。

 

「あたご様」や「五郎子」といった言葉は不気味だし、鶴の喉の塩漬け「鶴水」など民俗学的な不気味さでぐいぐい話を引っ張っていく。

 

エンディングも意外性と苦みがあって納得の終わり方だった。
受賞作は一番厳しく批評されるのかも。

 

川瀬さんには、これからも面白い作品をたくさん書いて欲しい。

 

 

よろずのことに気をつけよ (講談社文庫)

よろずのことに気をつけよ (講談社文庫)

  • 作者:川瀬七緒
  • 発売日: 2013/09/13
  • メディア: Kindle版
 

 

『よろずのことに気をつけよ』の感想、レビュー(あられさんの書評)【本が好き!】

 

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村