わた☆あめ 脳内読書会

読書ブログです。ヨーロッパより帰国しました(コロナのばか~!)

中学校に通い続けることが致命的に危険と判断し子供たちは学校を捨てた:『希望の国のエクソダス』

ナマムギ。パキスタンで地雷処理に従事していた日本人少年は同じ日本の少年たちからそう呼ばれていた。CNNの取材記者に日本語を話してみてくれと言われ「ナマムギ・ナマゴメ・ナマタマゴ」と答えたからだ。

 

コロナによる休校では学校を恋しく思った生徒がいる反面、のびのびと自宅で自分なりの学習時間を持った生徒も多かったのではないかと思う。勉強は本当は自分が好きな場所で、好きなように、好きなだけすればいいことなのだから。

 

世界中でステイ・ホームでの生活が広まる中、自宅からのリモート・ワークの場にはいくつもの可愛らしいハプニングが起こっている。子供が画面に映りこんだり、先日は猫のしっぽのみが映り込み、飼い主が白髪の真面目そうな紳士だったこともあって、画面中央でゆらゆら動くしっぽにリモート会議参加者はみな笑いをこらえていた。

 

私が思ったのは、日本の年配者、例えば議員といった社会的に高い地位についている人が、もしも自分が参加しているリモート会議に猫のしっぽが入り込んだら、その光景を楽しめるかということ。馬鹿にされていると憤慨するんじゃないだろうか。
学校を捨てた中学生のポンちゃんに国会で逆質問されたサイトウ議員のように。
英語を話すナマムギを「お前は何をかっこつけてるんだよ」と挑発した日本人ディレクターのように。

 

村上龍氏がこの小説を書いてから20年。表面的には中学生たちはまだ学校を捨ててはいないけれど、どうだろう。国を没落から救うには国を牽引できる人材が人口の5%必要と言うけれど、その5%を日本は慈しみ育むことができているのだろうか。

 

希望の国のエクソダス (村上龍電子本製作所)

希望の国のエクソダス (村上龍電子本製作所)

  • 作者:村上 龍
  • 発売日: 2019/12/04
  • メディア: Kindle版
 

 

『希望の国のエクソダス』の感想、レビュー(あられさんの書評)【本が好き!】

 

 

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