散歩をしていると思い思いに工夫を凝らした園芸成果を見かける。ご本人はけっして奇をてらっているのではないと思うのだけど、何とも言えない「いい感じ」でほれぼれして写真をパチリ。 こんな楽しいことは散歩をしないと忘れてしまう。世話をする人が増えて…
明治時代、日本国土の測量を推進するために、当時未踏峰だった北アルプスの剱岳に挑んだ日本陸軍の測量部・柴崎隊。彼らが山頂に辿り着くと、そこには古代の仏具が置かれていた。新田次郎の『劒岳〈点の記〉』にも出てくる有名なエピソードだ。著者はこの仏…
自分の部屋が欲しいという長男に急き立てられ、親二人は本の断捨離中。 何度か本の整理はしているけれど、今回は思い切って「読んでいない積読本」も処分した。 トルストイ『戦争と平和』(一度読んだ)、『復活』(積読)、ドストエフスキー『白痴』(挫折…
すっかり歌舞伎という芸能が縁遠くなってしまったので、昔の人々が歌舞伎をどのように観ていたのか実感するのは難しい。しかし今でいうテレビのような影響力があったと想像します。 この「忠臣蔵」という名称も歌舞伎・浄瑠璃の演目『仮名手本忠臣蔵』から来…
私が勤めていた会社は大手と言われる電気機器メーカーで、職場は現場寄りの部署だった。もう実際の製造は行っていなかったけれど、部門の人たちは製造の現場で物を作ってきた人ばかり。 だからこの本に出てくる日本の労働者の姿がとてもリアルに想像できる。…
著者は「物語を旅する」探検家。ほかに浦島太郎や、平安時代に剱岳に登った人物についての本を書かれている。どれも面白そうだ。 無人島サバイバルの元祖・ロビンソン・クルーソーには実在のモデルがいたらしい。その人、アレクサンダー・セルカークは18世…
主人公の百婆は渡来人。豊臣秀吉の朝鮮出兵の際に朝鮮から連れてこられた陶工たちの一人で、大きな窯元の女主人だ。 前作の『龍秘御天歌』では龍窯の主人・十兵衛の葬式を巡って、朝鮮式の葬式で送り出したい妻の百婆と日本社会での足場をさらに固めるため日…
サントリー美術館『ART in LIFE, LIFE and BEAUTY展』に行ってきました。 ここで初めて『誰が袖屏風』というものを知りました。 (画像はサントリー美術館よりお借りしました) www.suntory.co.jp 「誰が袖」とは古今集の「色よりも香こそあはれとおもほゆれ…
社会を成り立たせる構造として「資格」による社会と「場」による社会があるそうです。 資格による社会は横(同業者)のつながりが強く資格によって集団を移動することができます。一方、場による社会は目に見える枠がないため、実質は烏合の衆です。組織を保…
2010年、橋本治さんは顕微鏡的多発血管炎という難病で入院します。当初は一ヶ月ほどで済むと思われていた入院は、結局四カ月にも及びました。自分もじーさんだけど病院はじーさん・ばーさんばかり、と好奇心をもって病院生活を送った橋本さんですが、やはり…
よく理解できないことがあって迷っている時、つい橋本治さんの本を手に取ってしまいます。(もう新作が読めないとは本当に残念です)読むと「すっきり」することはなく、橋本さん特有の語り口であっちへやられこっちへやられ、読み終わった時には「どういう…
旅は紙の上に書いた計画通りには行かない。いくら綿密に計画しても当日の体調や気候によって計画は結構変わってしまう。人の記憶も紙に書かれたような「順序立って分かりやすいもの」にはならない。話し手が「あれ、おかしいなぁ」と口にしながら話す記憶の…
どこか日本人離れをしている著者が日本人について考察した本。きっかけは、やはり東日本大震災。あの出来事の後、様々な日本人像が論じられた。それを一文で言うと「日本の被災者は世界を感動させ、日本の政府は国民を絶望させた」と著者は言う。ここに全く…
『Masato』の続編が『Matt』であると知って「真人、オーストラリアでうまくやっているんだな」と嬉しかった。前作『Masato』ではオーストラリアで脱サラして新たに商売をするという父親と共にオーストラリアに残ることを選んだ真人。オーストラリアを、英語…
英語圏に一年半ほど暮らしたので英語は世界共通言語である前に暮らす場所の言葉で、しかし英語がこれほどにも世界共通言語でなければ、いずれ母国に帰る短期滞在者にすぎない自分が日々これほどまでに「英語を習得しなければ」という焦燥を感じることはなか…
ナマムギ。パキスタンで地雷処理に従事していた日本人少年は同じ日本の少年たちからそう呼ばれていた。CNNの取材記者に日本語を話してみてくれと言われ「ナマムギ・ナマゴメ・ナマタマゴ」と答えたからだ。 コロナによる休校では学校を恋しく思った生徒が…
川瀬七緒さんのデビュー作。第57回江戸川乱歩賞受賞作品。 巻末におさめられている選評では「呪いに対する理解が甘い」「会話文が多く冗長」と辛口だったけれど、私は純粋に楽しめた。 床下から見つかった呪い札は専門家が見れば「うなじの毛がチリチリと…
法医昆虫学捜査官シリーズは第1作目の『147ヘルツの警鐘』も読んだけど、この一作目での赤堀先生はどこか普通の女性。岩楯刑事と色っぽい関係になりかけたり・・・第一作目だから安定路線で行ったのかなぁ? でもこの作品ではしっかり変人に戻っている。…
フジモトマサルさんの訃報を耳にした時、あの『ダンスがすんだ』の人だなと思いだし、家の棚を探して見たけれど処分してしまったようでもうなかった。この本は久しぶりに出かけた大きな本屋で見かけて、その時は買わずに帰ったのだけど、その後も表紙の印象…
なんとも不思議な本でした。「勉強すること」について、著者の専門である哲学の考え方や用語を使って、著者自身の体験も盛り込んで語っている本です。タイトルにある「哲学」とはそういうことだったんだと読み終わって気づきました。勉強することの姿勢、セ…
『イギリスはおいしい』という本の中で著者の林望さんが日本のパンにふわふわした食感のものが多いのは「主食というものは白くて温かくふわふわと柔らかいもの」という刷り込みがあるからだ、というようなことを書いていらして、とても納得した。日本のパン…
ミステリー小説は私にとって純粋に読書だけを楽しめるジャンルです。他の本は読み終わった時に少しでも賢くなろうと言う下心が・・・。 法医昆虫学とは遺体に発生・寄生する虫、その成育段階や種類で死亡時期や場所の特定を試みるものらしい。Wikipediaによ…
台湾を舞台にした外省人一家の物語。波乱万丈な人生を送る祖父(そもそも中国から台湾に渡った人で波乱万丈でない人がいるだろうか)、彼は台湾のある地で現地の人々を大量に殺戮したという過去があるのだが、まったくそれを気にすることなく暮らしている。…
道徳が教科化されたのが2018年度、つい最近のことなのだとこの本を読んで初めて認識しました。確かに長男が低学年の時は道徳は副読本しかなくて、いつのまにか配られる教科書の中に道徳が入っていて、それもベネッセの知育雑誌のような小奇麗な表紙。サ…
作家の橘玲さんのTwitterでのFinancial Timesのコロナデータ掲載・解説がとても分かりやすく、ずっとチェックさせてもらっている。Financial Times作成の国別のグラフの画像を貼ってくれているのだけど、それが淡いベージュを背景に各国の数値がきれいなパス…
わた:つぶやきです。 あめ:すっごく面白そうな連載。 わた:マンション・ポエム。私も前から気になってました。 あめ:ほんとポエム。それもかなりできの悪い。 わた:帰国したら読みたいなー。 あめ:大山顕さんの写真、恩田陸さんの『歩道橋シネマ』の表…
わた:ハヤカワがAmazon kindle本でセール開催中! あめ:ポイント還元じゃなくて、書籍代そのものが下がるセールです! わた:さっそく、以前のセールで買おうか迷って終わってしまった『あなたの人生の物語』(テッド・チャン)を購入。 あめ:409円だよ~…
わた:コロナウィルスのため自宅待機となっている子供たちのために、今、色々な無料サービスが展開されています。 あめ:コミックが無料で読めたりしてますね。 わた:こちらは文藝春秋が30タイトル、期間限定で無料公開しています。 あめ:Amazonの無料本…
わた:今、私たちはほぼ電子書籍で本を買ってますが。 あめ:日本の本屋さんないし、図書館もないからね。 わた:紙と電子でどっちが使いやすいかっていうと、甲乙つけがたい。 あめ:電子書籍のメリットは①本を探さなくて済む、②本が散らからない、③家族で…
わた:少し前に『山怪』という本を読んだんだけど、キツネやタヌキに騙されて命を落とした人もいたのね。 あめ:まさに『カチカチ山』。だまされるか、その裏をかくか。 わた:著者によると頻繁にキツネ(及びその他の山の生き物)にだまされていた日本人で…