わた☆あめ 脳内読書会

読書ブログです。ヨーロッパより帰国しました(コロナのばか~!)

2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

「資格」ではなく「場」の共有によるタテ社会--そうした社会であれば日本でなくても同調圧力や自粛警察は生まれる:『タテ社会の人間関係』

社会を成り立たせる構造として「資格」による社会と「場」による社会があるそうです。 資格による社会は横(同業者)のつながりが強く資格によって集団を移動することができます。一方、場による社会は目に見える枠がないため、実質は烏合の衆です。組織を保…

日本も橋本さんも揺れに揺れた:『橋本治という立ち止まり方』

2010年、橋本治さんは顕微鏡的多発血管炎という難病で入院します。当初は一ヶ月ほどで済むと思われていた入院は、結局四カ月にも及びました。自分もじーさんだけど病院はじーさん・ばーさんばかり、と好奇心をもって病院生活を送った橋本さんですが、やはり…

やっぱり福沢諭吉は偉かった:『国家を考えてみよう』

よく理解できないことがあって迷っている時、つい橋本治さんの本を手に取ってしまいます。(もう新作が読めないとは本当に残念です)読むと「すっきり」することはなく、橋本さん特有の語り口であっちへやられこっちへやられ、読み終わった時には「どういう…

「おろんくち」、「がらんど」、「まだ息がある」---。 認知症の老婆が夕方になると口にする言葉。その言葉を辿っていくと、一本の恐ろしい木に辿り着いた:『フォークロアの鍵』

旅は紙の上に書いた計画通りには行かない。いくら綿密に計画しても当日の体調や気候によって計画は結構変わってしまう。人の記憶も紙に書かれたような「順序立って分かりやすいもの」にはならない。話し手が「あれ、おかしいなぁ」と口にしながら話す記憶の…

日本人は「得か、損か」で動く:『(日本人)』

どこか日本人離れをしている著者が日本人について考察した本。きっかけは、やはり東日本大震災。あの出来事の後、様々な日本人像が論じられた。それを一文で言うと「日本の被災者は世界を感動させ、日本の政府は国民を絶望させた」と著者は言う。ここに全く…

オーストラリアで生きることを選んだ少年はMasatoからMattになった:『Matt』

『Masato』の続編が『Matt』であると知って「真人、オーストラリアでうまくやっているんだな」と嬉しかった。前作『Masato』ではオーストラリアで脱サラして新たに商売をするという父親と共にオーストラリアに残ることを選んだ真人。オーストラリアを、英語…

漱石への愛が、すごい:『日本語が亡びるとき:英語の世紀の中で』

英語圏に一年半ほど暮らしたので英語は世界共通言語である前に暮らす場所の言葉で、しかし英語がこれほどにも世界共通言語でなければ、いずれ母国に帰る短期滞在者にすぎない自分が日々これほどまでに「英語を習得しなければ」という焦燥を感じることはなか…