わた☆あめ 脳内読書会

読書ブログです。ヨーロッパより帰国しました(コロナのばか~!)

2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

中学校に通い続けることが致命的に危険と判断し子供たちは学校を捨てた:『希望の国のエクソダス』

ナマムギ。パキスタンで地雷処理に従事していた日本人少年は同じ日本の少年たちからそう呼ばれていた。CNNの取材記者に日本語を話してみてくれと言われ「ナマムギ・ナマゴメ・ナマタマゴ」と答えたからだ。 コロナによる休校では学校を恋しく思った生徒が…

「不離怨願、あたご様、五郎子」:『よろずのことに気をつけよ』

川瀬七緒さんのデビュー作。第57回江戸川乱歩賞受賞作品。 巻末におさめられている選評では「呪いに対する理解が甘い」「会話文が多く冗長」と辛口だったけれど、私は純粋に楽しめた。 床下から見つかった呪い札は専門家が見れば「うなじの毛がチリチリと…

変人が帰ってきた:『シンクロニシティ 法医昆虫学捜査官』

法医昆虫学捜査官シリーズは第1作目の『147ヘルツの警鐘』も読んだけど、この一作目での赤堀先生はどこか普通の女性。岩楯刑事と色っぽい関係になりかけたり・・・第一作目だから安定路線で行ったのかなぁ? でもこの作品ではしっかり変人に戻っている。…

子どもの頃の夜をありがとう:『フジモトマサルの仕事』

フジモトマサルさんの訃報を耳にした時、あの『ダンスがすんだ』の人だなと思いだし、家の棚を探して見たけれど処分してしまったようでもうなかった。この本は久しぶりに出かけた大きな本屋で見かけて、その時は買わずに帰ったのだけど、その後も表紙の印象…

勉強するということはノリが悪くなること:『勉強の哲学』

なんとも不思議な本でした。「勉強すること」について、著者の専門である哲学の考え方や用語を使って、著者自身の体験も盛り込んで語っている本です。タイトルにある「哲学」とはそういうことだったんだと読み終わって気づきました。勉強することの姿勢、セ…

ほうずき市の由来に驚愕:『イネという不思議な植物』

『イギリスはおいしい』という本の中で著者の林望さんが日本のパンにふわふわした食感のものが多いのは「主食というものは白くて温かくふわふわと柔らかいもの」という刷り込みがあるからだ、というようなことを書いていらして、とても納得した。日本のパン…

お気に入りの変人をまた一人見つけた:『メビウスの守護者 法医昆虫学捜査官』

ミステリー小説は私にとって純粋に読書だけを楽しめるジャンルです。他の本は読み終わった時に少しでも賢くなろうと言う下心が・・・。 法医昆虫学とは遺体に発生・寄生する虫、その成育段階や種類で死亡時期や場所の特定を試みるものらしい。Wikipediaによ…

恋、家族、友情、祖国、幽霊、そして殺人。娯楽小説の王道:『流』

台湾を舞台にした外省人一家の物語。波乱万丈な人生を送る祖父(そもそも中国から台湾に渡った人で波乱万丈でない人がいるだろうか)、彼は台湾のある地で現地の人々を大量に殺戮したという過去があるのだが、まったくそれを気にすることなく暮らしている。…