わた☆あめ 脳内読書会

読書ブログです。ヨーロッパより帰国しました(コロナのばか~!)

流れてくるニュースを自分でもう一度考える:【Amazon Prime Reading】大野和基『未来を読む AIと格差は世界を滅ぼすか』

わた:こんな本ばかり続いているけど、本当は小説読む人なんです。

あめ:だけどやっぱり最近は世界が少し不穏なので、今、世界で一体何が起こっているのかを探るような本を手にとってしまいます。

わた:これは偶然Amazon Prime Readingで見つけて手に取ってみました。

 

あめ:インタビューをまとめたものですが、インタビューの対象は、文化人類学者、歴史家、人材論・組織論の権威、経済学者、元アメリカ国防長官、アメリカの女性学者などです。

わた:短いインタビューですが、どれもそれぞれの方の研究内容やエッセンスがよくまとめられていて、さらに知りたい知識への入り口になるような本です。

 

AIの未来に対する正反対の見解

あめ:同じAIの未来を語っても歴史学者のハラリ氏とAIのトップ研究者であるボストロム氏では未来のイメージが全然違うのね。ハラリ氏は悲観的だけど・・・

わた:ボストロム氏はとても楽観的。というより技術のことは考えているけれど、それに影響される人間についてはあまり考えられていない印象を持ったな。

あめ:「不可逆的なテクノロジーであるAIは初期設定がとても重要」って何度も言っていたね。

わた:あのー、初期設定するの、あなたたち科学者ですから!

あめ:『21 Lessons』で感じたけど、公道であなたは「利他的に振舞う」のか「利己的に振舞うのか」なんて選択を迫られるなら、車なんかいらないよ!

わた:AIが行きついた先で、こんなの聞いてないって私たちは思うんじゃなかろうか・・・。

 

喫緊の問題は「中間層の没落」 経済成長のために私たちは情報の断片になる

あめ:フランスの経済学者であるコーエン氏はAIは「中流階級を豊かにしない」と言い切っているね。

わた:フランス人らしく皮肉が効いてるー。

あめ:残念ながら、テクノロジーが格差を広げ、分断を推し進めているというのは世界的な事実みたい・・・。

わた:「一生懸命働きさえすれば報われるというのは幻想」とか「これからの社会は大多数の人が親の年収を超えられない」とかかなり暗い気持ちになるよ。

あめ:だからさ、自分の中の幸せの定義を変えていく必要があるんだと思う。テクノロジーで生活が向上していることは明らかなんだから。

わた:ただそれが賃金の向上には結びつかない。

あめ:今はモノよりも「つながり」や「物語」を求める、というのは再定義の現れなんだろうね。

わた:「ポスト工業社会のデジタル経済では経済成長を成し遂げるには人々が情報になるしかない。人間を人間として扱うと成長できる方法が限られる」というコーエン氏の指摘はオソロシイ!

あめ:『ニューロマンサー』(ウィリアム・ギブスン)じゃん!

 

アメリカで今、起こっていること

わた:政治家の話も実は面白いよね。オリバー・ストーン監督によるプーチン大統領のインタビューやNHKでの野中務さんへのインタビューはその人となりが感じられてすごく面白かった。

あめ:クリントン政権時代に国防長官を務められたペリー氏の話も、とても責任感・慎重さ・理性を感じられるものでした。

わた:北朝鮮が一番求めているのは国体の維持って、それは敗戦後の日本も同じだしね。

あめ:政治的リーダーが「すべての選択肢がテーブルにある」というときは、「私はこれから何をしたらいいのかわかりません」という意味だって。

わた:これからは気を付けてみていよう。

 

あめ:一番興味深かったのは女性の地位向上についての研究・活動をされているウィリアムズ氏のインタビュー。

わた:アメリカのホワイト・ワーキング・クラスについての本を書かれています。

あめ:白人労働者って括るとなんだかわかったような気になっちゃって、ちょっと抵抗あるんだけど。

わた:自分自身を見るようなところもあるから直視したくないしね。

あめ:白人ワーキングクラスと定義されているのは年収800万円前後の人々。日本ではどちらかというと豊かな人々に当たるのでは?

わた:その彼らが自分たちや子供たちが貧困に滑り落ちていると感じている。

あめ:中間層が貧しくなり、それによりますます政治的な力をなくしている、それに対する怒りだと分析されています。

わた:貧しくなったというよりも、テクノロジーを活用して巨万の富を築いた人がいるのを知っているから相対的により強くそう感じるんだろうね。

あめ:トランプ氏も大金持ちで中間層を搾取する側なのに尊敬されているのは「彼がリアルな人間だから」。ヒラリー氏は「階級を甘く見ていた」。トランプ氏を支持した人々は民主党に代表されるようなプロフェッショナルの自意識に怒りを感じている。

わた:プロフェッショナルたちは心の底では自分たちが今の地位を得たのは「頭がいいからだ」と思っている。しかしそれは彼らが「生まれた時から三塁にいたから」なのにその事実を認めようとしない。そして一塁から始めた人を能力・努力不足と蔑む。

あめ:中間層の人々にとってアメリカ人であるということは、たんに「自分らしい自分である」ということ。だから「トランプ氏のガキ大将のような振舞いこそ、人々が求めていたもの」

わた:いくらトランプ氏の振る舞いを非難しても彼を選出した人の見識を疑っても、両者はますます結託するし、何の解決にもならないって感じたね。

 

あめ:ちょっと長くなっちゃった。

わた:短く、読みやすくというのがこのブログの目標なのになかなか達成できません。

あめ:これはAmazon Prime Reading対象本なのでPrime会員であればkindle版は無料で読めます。

わた:アメリカって今、どうなっているの?と疑問を感じたら手に取ってみるとヒントが得られる本だと思います。

 

 

 

 Amazon Prime Reading対象本です。

 

 

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