新しい人でないと世界は閉じれない:水野和夫『閉じていく帝国と逆説の21世紀経済』
わた:著者は「EU帝国」にある程度の希望を感じているんだね。
あめ:EUは国同士の繋がり(陸の国)を基盤とし、経済活動の基盤も実物投資空間を基盤としているので、「電子・金融空間」とは異なり、実物投資空間で働く人々に利益が還元されるため拡大を目指すとは言えグローバリゼーションとは異なるという見解。
わた:EUは経済的な繋がりが注目されるけど、最終的には政治的な統合を目指しているという視点からイギリスのEU離脱を見ると、とても納得がいくね。
あめ:イギリスのEU離脱派のスローガン「コントロールを取り戻す(take back control)」はある部分では真実なんだろうね。
わた:ブリュッセルのEU本部が法律を規定して、EU加盟国はそれを後追い承認するしかない。そして各国の主権者はその法律制定に関与できない。
あめ:まさに帝国。それも実はドイツ帝国。
わた:ユーロ、実はマルクだから、高いんだよ。
あめ:ポルトガルを旅した時、食事が美味しくて安いよって言われたけど。
わた:全然安くなかった。マルクだから。
あめ:敗戦国であるドイツと日本の選択の違いも考えさせられました。
わた:アメリカの利上げ要請を振り切り、ドイツは利上げを実施。
あめ:日本は利上げをせずに、バブルが弾けてしまった。
わた:どうして日本はこんなにも米国追従になってしまったのか。
あめ:ドイツはある意味、負け慣れていたのかも。負けても自信喪失しなかった。日本は世界大戦で負けるのはほぼ初めてだからすっかり自信消失しちゃった。
わた:国体の維持という人質もあったし。
あめ:グローバリゼーションを経て国家は資本の下僕となった。しかし著者はこれは驚くには当らないと。領土国家とはそもそも世紀最大の企業家なのだ、と。
わた:不可逆的に進む物質的な世界(環境と世界)と、その中で何度か反動を繰り返すかたちを持たない人の意識。
あめ:それがせめぎ合っているのが現在の混乱ということなのかもしれないね。
わた:自明だと思っている歴史の流れも、立ち止まって歴史を眺めてみればたまたま破綻なく一世紀ほど続いていることに過ぎないのかもしれない。
あめ:考えてみれば国民の大半が中産階級となり国家の中で福祉を享受できるようになったのも第二次世界短戦後、ほんの少し以前からのことに過ぎない。
わた:それ以前の国家はもっと容赦のない存在だった。リヴァイアサンだもの。国民を守る国家というのは歴史の中でほんの一瞬の姿なのかもしれない。
あめ:低金利に苦しむ日本が戻すべきと考えている5%の金利の時代も著者によると第二次世界大戦後からソ連解体までの一種の戦時下。
わた:戦争という緊張状態があったからこその金利なのに、それに戻したいというのは終わった夢を忘れられてないなぁって。
あめ:優良会社の不正(東芝の不正会計、フォルクスワーゲン社の不正ソフト問題)も不正を行わないと株主の期待する利益が計上できない、ユーザが求める低燃費が実現できない。
わた:飽和状態に達している中で利潤をさらに追求しなければならない。それが社会の秩序を乱している。
あめ:で日本はどうすればいいかというと。
わた:①経済的な平常状態を保ち
あめ:②EUに加盟申請をする!
わた:ヨーロッパ遠い! キリスト教国でもないし!
あめ:国境を超える資本に地域帝国、地方政府(まさにEU)の規模でないと対抗できない。アジア地域は中国が近代化の過程にあるので社会は閉じられない。機が熟すまでEUに加盟申請をして時間稼ぎをする。
わた:経済的な定常状態とは①財政を均衡させる(普通国債はこれ以上増やさない)
あめ:②エネルギーの国産化(太陽光パネル、蓄電池)
わた:③地方政府(日本をいくつかの経済圏に分け、それを閉じる)
あめ:・・・どれもハードル高い。
わた:もうこれは新しい人でないと世界は閉じれない。
あめ:経済活動に関係なく、感情がこじれている国でフリーハグするとか。
わた:ソマリア・ギャングと夢を語ったり。
あめ:そういう柔らかな心をもった人たちに力を貸してもらわないと。
わた:ごめんね、世界を閉じられなくて・・・。
まだ読んでないけど読んでみたい。
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